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1月○日
どんぐりのレ
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「Aこちゃん、今日は、ド、レ、ミ、を覚えようね」
「「は〜い!」
「5本の線の下にある、おひげが生えている、おんぷが、どんぐりさんのドよ,わかった」
「はーい」
「それでは、線に頭がごっつんこしているおんぷ、これがね、レモンちゃんのレ、だよ
わかったかな、では問題、このおんぷは何でしょう?」
「は〜い、かんたんだよ、どんぐりさんのレ!!」
「・・・・・」
まだレッスンを始めたばかりの可愛い4才のA子ちゃん、「どんぐりのレ」には、
まいったまいった。
何年かしたら、きっと素敵に「ドレミの歌」を弾いてくれるんだろうな〜。
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1月○日
ただいま反抗期
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「はい、ここから弾いてみて」
「♪〜〜〜♪〜〜〜♪」
「あ、そこはP(ピアノ)よ。もっと、そっと弾いてね」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「では、もう一度今の所から弾いてごらん」
「♪〜〜〜♪〜〜〜♪」
「ちょっと待って!P(ピアノ)って言ったでしょ、どうしてもっと優しく弾けないのかな?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「B子ちゃん、そこは、そっと弾いてね、分かったら返事をして」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「あのね、音楽って、とても優しい気持ちにならなかったら、弾けないのよ。
今のあなたの気持ちが、そのまま音に出てしまうの。
B子ちゃん、もう少し素直になろうね。」
反抗期、真っ最中の中学生のB子ちゃん、私が何を言っても返事が返ってこない。
ここ何年かは仕方がないのだろうか?でも、B子ちゃんのレッスンが終わると、私は
ぐったりと疲れてしまう・・・・・まあ1回は誰でも通る道、
なんとかB子ちゃんに負けずに頑張ろう!
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1月○日
星になったT子ちゃん
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今日、T子ちゃんが亡くなった!
信じられない!
絶対、嘘だよ!
先週まで、元気にレッスンに来ていたのに・・・・・・なぜ?
グレード6級を目指して、あんなに頑張っていたのに、大学も決まって人生の中で、
今が一番楽しい時だったのに・・・・
レッスンの時、あなたが鍵盤に向かって一生懸命に弾いている姿、
発表会の時スタッフとして頑張っている姿、クリスマス会でのあの楽しそうな笑顔、
7年間の色々な思い出が走馬灯の様に頭の中を駆け巡る。
こんな惨い事があっていいのだろうか・・・・・
最後にあなたが弾いていた曲、偶然にも「冬のオリオン座」だったね、
とても素敵に弾いてくれた。今,先生は星を見ているよ。なんで、こんなに綺麗なんだろう。
やっぱり信じられない!信じたくない!
きっと、土曜日になったら、またニコニコしてレッスンに来るよね。
T子ちゃん!
人の命がこんなにも、はかない物なのか、、どおしようもない憤りを感じる。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
T子ちゃん、どうか安らかに眠って下さいね。
合掌・・・・・・・・・・・・・・・
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2月○日
地球の子
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「今日は!」
「今日は・・・・」
「どうしたのですか?先生お疲れになっている見たいですよ」
「ええ、毎晩寝るのが遅くなって、どうも肩が凝って、頭痛がしているんですよ」
「それは、いけないですね。先生私たちは、地球の子ですよ。夜は寝なくてはいけません。」
「地球の子!ですか?」
「そう、地球の子です。人間は、夜寝る様に出来ているんですよ。夜、白血球が作られるんです。
夜寝ないと、白血球が作られないので、免疫力がなくなって、病気になってしまうのです。」
「そうなんですか〜、Tさんは、パソコンだけでなく、医学にも詳しいのですね」
「とにかく先生、夜は早く寝てくださいね!」
「はい、早く寝る様に心がけます。地球の子ですから!」
人生の先輩、音楽が大好きなTさん、
音楽だけでなく常に、色々な事に対し前向きな姿勢に脱帽だ。
Tさんから教わったFINALE(楽譜作りのソフト)は今の私にはとても、便利で本当に助かっている。
今、教わっているXGworksは「うぅ・・・・ん??」とても難しいな〜?
でも、7ヶ月前まではマウスの握り方も知らなかったのに・・それがホームページを
開ける様になったんだから。パソコンを始めるきっかけを作ってくれたHさんに感謝!感謝!
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3月○日
お雛様
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今日、お雛様を出した。
1年に1回、私はいつも出すのが、とても楽しみだ。
教室の中が冬〜春へ、いっきに明るい雰囲気に包まれる。
生徒さんも「私のお家のお雛様は7段飾りよ」、「うちのはね〜もっと、優しい顔
しているよ、「うちはケースの中にはいっているの」」と皆、色々話が尽きない。
私自身も、お雛様を見ていると、ふと童心に帰る事が出来るから不思議だ。
さあ、「あかりをつけましょぼんぼりに〜♪〜」皆で歌っていこう! |
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3月○日
小さな花束
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「先生今日は」
「K子ちゃん今日は、どうしたの?ハァーハァーして」
「うん、走ってきたの、お花をつんできたから、だって、きょうは先生の誕生日でしょ。
先生、お誕生日おめでとう!これ、私からのプレゼント」
「K子ちゃんありがとう!とっても可愛いお花ね、先生うれしいな」
「このお花、しろつめ草だよ、本当はね、四葉を探したんだけれど、三つ葉しかなかったんだよ、
ごめんね。
でも、私の宝物の包み紙にお花を包んできたから。」
「K子ちゃんから、素敵な花束を貰って、先生素晴らしいお誕生日だよ!
大切に花瓶にさして置いとくからね。本当にありがとう!」
6才のK子ちゃんが握り締めて持ってきてくれた花束、包み紙がグシャグシャになっていた。
きっと「先生が喜んでくれるだろうな」と思って、一生懸命に摘んで落とさないように
握りしめてきたのだろう。K子ちゃんの暖かさがジヮ〜と伝わってきた。
しろつめ草に囲まれて、とってもほのぼのとした誕生日だった。
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